ゆっくり離れると、磯村さんはまだ目を潤ませじっと俺を見つめていた。


………何をやってるんだ俺は。


病人に手を出すなんて、バカか。


付き合ってもないのにいきなりこんなことをしたら、磯村さんはきっと嫌なはず………


「夢の中の、中川くんはいつもより………甘いね。」


途切れ途切れに話す磯村さんはやっぱり夢だと思い込んでいた。


だからスムーズに話せるのか。


寝ぼけてる磯村さんは思っていることを口にし、それがまた俺を乱そうとする。