早く俺に溺れろよ〜好きと言われたその日から〜




さっきまで私を見ていたはずの中川くんはもう私を見ずに書類に目を通していた。


その姿はあまりにも綺麗で、かっこよくて見惚れてしまう。


中川くんはその姿勢を保ったままで、少しも動かない。


そんな中川くんに少しだけ違和感を感じながらも、金城くんの方に視線を戻す。


すると金城くんは私の方に近づき、私にだけ聞こえる声の音量でぼそりとつぶやいた。


「あれ、多分最終形態だから。


光輝って本当に怒ったら逆に冷静になってああなるわけ。」


………ん?
金城くんは今なんて……


「ど、どうして中川くんが怒ってるの……?」


「まあ今回は怒ってるわけじゃないけど。
磯村ちゃんって罪な女だねぇ。」


それだけ言い残し、また席へと戻る金城くん。