「天音ちゃ……」


私が名前を呼び返す前にすごい勢いで抱きしめられた。


「会いたかった!
心配かけさせてごめんね……」


やっぱり天音ちゃんの声はどこか弱々しくて私まで悲しくなる。


「ううん、大丈夫だよ。
でも天音ちゃんが……」


「多分、別れる。
だって冬夜、私とは会わずに女の人とは会ってるみたいだし……。」


「………え…?」


その女の人とはきっと、椎野くんの初恋の人でありお兄さんの彼女のことだろう。