中川くんは立ち上がり、私の元へとやってくる。


少し危険を察知した私だったけど、体は動かない。


「そういうの、わざと?
俺に期待させといて落とす、みたいな。」


期待………?
落とす………?


「わ、私はそんなつもりじゃ………」


「だろうな。
だから意味、わかってほしいんだけど。」


私の目の前で立ち止まり、真っ直ぐ私を見つめてくる。


そんなこと言われたって、わからないものはわからない。


それよりも中川くんが近くにいるから、鼓動がさっきより速くなる。


その時、もしかしてキスされてしまうんじゃないかと思い、急いで中川くんから視線をそらして俯いた私。


「……警戒してるのか?
そんなに俺ってすぐキスするように見える感じ?」


「そ、そういうわけじゃ……」


でも、すぐ否定はできない。
今までだって、されたことがあるわけで……


思い出しただけで顔があつくなる。