早く俺に溺れろよ〜好きと言われたその日から〜




「天音、俺の話聞いてくれる?」


上沢くんが天音ちゃんの前にしゃがんで優しく話しかける。


天音ちゃんは黙って頷いた。


「冬夜は………昨日のことがあって、正直揺れてるみたい。


天音のことも好きとは言っているけど、揺れ動く自分がわかんなくなってるって。


だから、今すぐ答え出せって言われても難しいと思うし、天音自身も今すぐ別れたいわけじゃないよね?」


「う、ん………」


天音ちゃんはさっきよりも多くの涙が目から溢れ出す。


「だから今日はとりあえず帰ろうか。


夏休み中の生徒会の仕事は………天音のしたいようにすればいいよ。


書記はもう1人いるから大丈夫だろうし、変に来ても天音自身を傷つけることになるかもしれない。


だからそれは家で考えるんだよ。
わかった?」


これまでの上沢くんじゃ考えられないくらいの優しい声と言葉だった。