完全に開かれたドア。
その向こうにはさっきまで2人で見えていなかった彼の姿が。
整った顔は私を見ている。
「もう書類まとめ終わったのか?」
向こうから聞かれ、私はこくこくと頷いた。
「早いな………とりあえず中に入れよ。」
初めてそんなことを言われ、怖くて仕方ない。
今から暴言を吐かれるんじゃないかという疑念さえ持ってしまう。
恐る恐る中に入ると、彼が席から立ち上がり、私の方へと来た。
私の前で立ち止まる彼は身長が高くて余計に怖い。
見上げるのが怖くて俯きながらまとめたプリントたちを渡す。
「………あ、の………これお願いします………」
今は床しか見えなくて、献上しているような形になるけれど気にしない。



