じっと上沢くんを見るけど何か企んでるような表情ではなかった。
「………まだ何か?
警戒心むき出しなんだけど。」
「そ、そんなわけじゃ……!」
確かに冗談かなって思ったけど、警戒心むき出しにした覚えはない。
「じゃあ何?
そんな人の顔じろじろ見てさ、見惚れてんの?」
な………!
この人さらっとナルシスト発言したよ……!
「み、見惚れてなんかないよ…!」
「あっそ。
それなら俺にもう用はないよね。
疲れたから帰る。
帰るのもめんどくさいな。」
そう言うなり立ち上がって帰ろうとする上沢くんに、私は慌ててもう一度お礼を言った。
「う、上沢くん……!
あの、教えてくれてありがとね……!」
少しの間があいてから、上沢くんは喋りだした。
「どういたしまして。」
その後にふっと微笑んだ。
初めて見るその優しい笑顔にドキッと胸が高鳴る。
そしてこの日、上沢くんの印象が少しだけ変わった………。



