ほんとにすごいや。
チラッと水野君を盗み見ると、偶然こっちを見ていて目が合った。
「き、綺麗だよね、花火」
「ん? ああ、だな」
「ほんとに思ってる? 学校にいる時と変わらないよね、テンションが」
淡々としてるし、相変わらず無表情でなにを考えているのか全然わからない。
苦笑しながらそう言うと、水野君の手が伸びてきた。そしてグーを作って私の頭を軽く小突く。
「思ってるっつーの」
少しふてくされたようにムッと唇を尖らせる水野君。そんな水野君を見て、思わず胸の奥がキュンとなった。
「春ちゃんは感情が表に出にくいタイプだからね」
「瑠夏と夏目は出すぎだけどな。もう少し控えめにすれば?」
「ひどー。どう思う? 桃ちゃん」
今度は瑠夏ちゃんがふてくされた。子どもみたいに頬を膨らませて、じとっとした目で水野君を見る。
「ひどいよね、水野君」
「だよねだよね! 春ちゃんはいつもひとこと余計なんだから」
「騒いでないで花火を見ろよ」
「言われなくてもそうするしー!」
スネる瑠夏ちゃんを優しい眼差しで見守る水野君。
それを少し羨ましいと思いながら、私と水野君の距離の遠さを実感する。