「ありがとう……」
どうしよう、本当に嬉しいし、幸せ。たったこれだけのことなのに、涙が出そう。
それほど、水野君が私を見ていて、しかも好きな物を覚えていてくれたことにビックリした。
瑠夏ちゃんにはまだまだ負けるけど、私も自然と水野君の隣にいられるような存在になりたい。そして、もっともっと水野君のことを知りたい。仲良くなりたい。
一歩づつでいいから、もっと近づけますように。
「あ、花火が始まるみたいだよ!」
場内にアナウンスが流れて提灯の明かりが一斉に消えた。それと同時にモヤモヤしていた気持ちも吹き飛んで、これから始まる花火にワクワクする。
数分前までショックを受けていたというのに、なんて単純なんだろう。でもでも、せっかくきたんだから、楽しまないとね。
——ヒュルルルルルル
——パーン
ドーンと轟き音が響いて、夜空に打ち上がる無数の花火。高い位置と低い位置の両方に打ち上げられて、オープニングからすごく派手だ。
私たちが座る河原から真正面の位置にでかでかと見えて、こんなに近くから花火を見るのは初めてで、とても感動した。
「桃ちゃん、綺麗だね!」
「うん、そうだね! テンション上がるー」
だってだって、真ん前だよ?
ど迫力だよ?