「し、してるよ。お母さんにしてもらったの」

「へぇ、それなりに似合ってるんじゃね」

「そ、それなり……?」

喜んでいいのかダメなのか。でも、褒められている気がしないなぁ。

「もう、春ちゃんってば。素直に可愛いって言えばいいのに」

「はぁ? 誰がだよ」

「そうやってごまかす癖、直ってないんだね」

「そんなんじゃねーよ」

瑠夏ちゃんにクスクス笑われて、水野君はふてくされてしまった。仲が良い二人の間に入っていくことができない。

瑠夏ちゃんはズルいなぁ。いいな。自然と水野君の隣にいることができて。違和感なく一緒にいられて。

「あ、そうだ。たこ焼き代払うよ。いくらだった?」

それまでふてくされていた水野君がこっちを見た。そして、口元をゆるめて小さく笑う。

「いいよ、俺の奢り。夏目に瑠夏のこと言い忘れてたお詫びってことで。それと、飲み物も買ってきたから」

そう言って水野君がビニール袋から取り出したのは、ペットボトルのストレートティー。私がよく学校で飲んでいる物だ。

「好きなんだろ、それ。よく飲んでるよな」

「あ、うん……!」

単純なことに、これだけで胸がじんわり温かくなる。人に興味がない水野君が見ていてくれたことが、めちゃくちゃ嬉しい。