「人をおもちゃにしやがって」
「あはは、だってー。たまにはいいじゃん」
「なにが“たまには”だよ。ったく、これだから桃は」
唇を尖らせながら呆れ顔を浮かべる蓮。私はそんな蓮の手を払って、今度は私から蓮の手をギュッと握った。
「そんなに呆れないでよー! これも一種の愛情表現じゃん。久しぶりに蓮と絡めて嬉しいと思ってるんだよ?」
なんて半分くらいは冗談だけど、蓮の目を見つめながらにっこり笑って言ってみた。
「中学の時はずっと一緒だったけど、今はクラスも離れてるし……さみしいんだよ。ほんとは、もっと絡みたいんだよ」
これはほとんど冗談。でも、さみしいと思ってるのは本当だ。
わざとらしく顔を伏せ気味にして語尾を小さくしてみた。
すると——
「な、なに言ってんだよっ」
動揺したような蓮の声。明らかに照れているのがわかる。
上目遣いで蓮を見ると、顔を真っ赤にして困惑していた。蓮のこんな顔は初めて見るかもしれない。
真っ赤になるなんて。あは、可愛いやつめ。
「蓮ちゃん、よーしよしよし。なでなでしてあげる」
「バカッ、やめろ。触るな」
「照れなくてもいいじゃん」
「て、照れてないしっ」
そうは言っても、耳まで真っ赤ですよ?
「ぷっ。蓮って妙に大人ぶってるけど、反応はすごく初々しいよね。からかいがいがあって面白いよ」
「からかってたのかよ……!」
「それなのに真っ赤になっちゃって、ウブなんだから。まぁでも、さみしいっていうのは本音だけどね」



