身体の全細胞が活性化して、水野君を意識しているような感覚。見られていると思うと、うまく息が吸えなくて身動きができない。
なんなのよ……これは。
嬉しいと思ってしまっている。明らかにさっきよりも、夏休みが待ち遠しくて仕方がない。
「なに固まってんだよ。嫌なら断ってくれていいし」
「……行くっ!」
嫌なわけない。水野君から誘ってくれたんだもん。もう二度とないことかもしれないのに、断るわけないよ。
「絶対に行くから!」
「声でかっ。一回言えばわかるから」
クスクス笑われて、顔に火がついたように熱くなる。
「ご、ごめん」
「とりあえず、連絡先教えて」
「え? あ、うん!」
まさか、水野君と連絡先を交換する日がくるとは夢にも思わなかった。
ドキドキしながらアプリのふるふる機能を使って、無事に連絡先を交換することができた。
水野君のトップ画は初期設定のまま変えられていなかったけど、それがまた水野君らしいと思った。
「松野神社の祭りの日空けといて」
「うん、わかった」
松野神社のお祭りは、七月末の日曜日に高校の最寄り駅から二つ手前の駅の近くの神社で行われる。神社にしては敷地が広くて、そのすぐそばには川が流れている。
神社から川沿いにズラリと露店が並んで、それは一キロ以上にも及ぶ。
遠くからも人がやってくるほど、有名で規模が大きなお祭りだ。