さらには猪突猛進で、こうと決めたら周りを見ずに突き進むところがあるから、目が離せないとも言われた。
自分のことには楽観的で〝なんとかなるでしょ〟が私の口ぐせだ。
それでもなんとかならない時は、いつも蓮が助けてくれた。
それは主に勉強面でだけど、テスト前や受験勉強の時はすごくお世話になったし、これでも一応蓮には感謝している。
アンバランスな二人だけど、私たちは友達や親友以上の固い絆で結ばれている。
例えるならそれは、家族の絆と似たようなものなのかもしれない。
それはこの先もずっと変わらないし、大人になっても永遠に続いていく。
「聞いてんのかよ、バカ桃。勉強もちゃんとしろよって言ってんだけど」
「むっ、バカって言わないでよ」
「だって、本当のことだろうが」
「蓮の本性、みんなにバラしてやろうかな」
いや、冗談抜きで。
こんな悪態をつくなんて、きっと誰もが思ってないよ。
爽やかな王子様のイメージを、どうにかして壊してやりたい。
「バラしたって、誰が信じるかよ」
「そう思ってるところがムカつく」
ほんとにね。
余裕しゃくしゃくで笑う涼しげな横顔も、気に入らない。
「いいもん、高校では蓮のお世話にはならないから」
「へえ。じゃあ、勉強も俺がいなくて大丈夫なんだな?」
「うっ……そ、それは」
悔しい、ものすごく。
蓮は白い歯を見せてイジワルに笑う。
俺がいなかったら困るくせに。
その笑顔からはそんな意思が読み取れて、私はスネたように唇を尖らせるしかなかった。
私は誰とでもすぐに仲良くなれるし、友達も多いほうだと思う。
中学の時は二クラスしかなかったから、学年のほとんどの人が顔見知りで仲が良かった。
なに不自由なく、楽しかった中学校生活。
でも勉強面は中の下でほんとにダメ。
成績も下から数えた方が早かったくらいだ。
どれだけ蓮に助けられたかはわからないほどで、今日から通う高校に合格できたのだって、蓮がつきっきりで勉強を教えてくれたからと言っても過言ではない。
正直、私にはちょっとレベルが高い高校だったけど、制服が可愛くて昔から憧れていたから、なにがなんでも通いたかった。
だから、死ぬ気でがんばったんだ。
だけど、合格すればいいっていうもんじゃない。
これから先の学校生活のほうが長いんだよね。
勉強についていけるかな。
なんて、途端に不安になる。