「水野君と目が合うとドキドキして落ち着かないんでしょ? 無意識に姿を探したり、知らないうちに自然と目で追ってたり」
「う、うん」
「それって、水野君が好きだからでしょ」
「えっ!?」
胸に衝撃が走った。
水野君のことが……好き?
思わず呆然としてしまう。それはまったく予想だにしない答えだった。
「いやいやいやいや、そんなわけないじゃん! 私の話聞いてた?」
思わず疑いの目を向ける。なにがどうなったら、そうなるの。
「もちろん。桃の話聞いてたら、水野君のことが好きだとしか思えないよ? ずばり、恋でしょ」
百合菜は確信したように目を細めて優しく笑った。
好き……?
私が水野君を?
なんで?
いつ?
理由は?
考えてもわからない。
「で、でも……だって、そんなわけないよ。だいたい、好きになる理由がないもん」
「好きになるのに理由なんかないよ。気づいたら好きになってるもんでしょ。ま、ドラマの受け売りなんだけどさ」
好きになるのに理由なんかない。
気づいたら好きになってる。
たしかにどこかで聞いた言葉だ。
でもだけど、私はその理由を探さなきゃやってられない。
ちがう、そんなんじゃないって思いたかった。