迷惑がられていることは百も承知だ。

だけど優しいところもあって、そのギャップがまた放っておけなくさせているのかもしれない。

水野君がただ冷たいだけの人だったら、なにを言っても反応してくれなかったら、私はここまでからもうとはしなかったし、気にならなかったと思う。

「桃ちゃんって、すっごくいい子だね。あ、勝手に桃ちゃんって呼んじゃった」

えへへと舌を出して可愛く笑う瑠夏ちゃん。素直で純粋で、心の綺麗な子なんだろうな。

「夏目のことはどうでもよくて。お前、なんか顔色悪くね? また無理したんだろ?」

だから水野君も瑠夏ちゃんには優しくて。

「最後の授業が体育だったからかな? でも、心はすこぶる元気だよ」

「帰ったらすぐに横になるんだぞ」

とても大切に想っているのがわかる。

二人の間にはとても強い絆があって、お互いがお互いを大切にしている。

私と蓮のような関係だけど、二人の絆は私たちよりも強くて強靭なものだ。

特に瑠夏ちゃんを見つめる水野君の瞳は……幼なじみ以上の感情がありそうな気がする。

優しく慈しむように、それでいて温かくて。

だけど時々切なげに瞳を揺らす水野君。

切なげな水野君の顔を見ていたら、なぜだかすごく——胸の奥が締めつけられた。