早く気づけよ、好きだって。


その日は一日中雨で、放課後までどんよりした空が広がっていた。

靴下も乾いていないけど、裸足でローファーを履くわけにもいかなくて。半乾きの靴下に足を通して、昇降口の軒先で傘を広げた。

最近では蓮と帰ることも少なくなり、駅まで皐月と帰るのが日課になっている。

駅に着くと乗り場が違う皐月とはバイバイして、ホームへ向かうべく階段のそばまでやってきた。

階段を上がりかけた時、すぐそばにあった自販機に目移りして足が止まる。

ジメジメしているのもあるけど、今日は全体的に気温が低いせいで肌寒い。

なんだか温かい物が飲みたいな。

そう思って踵を返して自販機の前に立った。もうすぐ夏だけど、自販機にはまだ温かい飲み物が入っている。

スクールバッグから財布を出して、小銭を手に取り自販機に入れた。

だけど——

「わ、最悪。十円足りない……ショック」

朝、財布の中身を確認せずに家を出たことが、今になってとても悔やまれる。所持金わずか百円だなんて、女子高生にはあるまじきことだよね。

「どうしよう」

どこかに十円入ってないかな。

そう思ってスカートのポケットやスクールバッグの中をあちこち探す。

あたふたしながら色んなところを探ってみたけど、出てきたのはかろうじて五円だけだった。

五円って……小学生のお小遣いじゃあるまいし。