中はさらに埃っぽくて、空気が淀んでいるように見える。
こんなところにいるわけないか。
ドアを開けようとしてみたけど、鍵がかかっていた。
って、当たり前だよね。今は使われてないんだし。
教室には全て鍵がかかっているはずだ。
じゃあ、どこへ行ったの?
階段の前まで戻ってきた私は、頭を捻らせた。
パッと顔を上げた先には、屋上へと続く階段が。
あ、もしかして。
恐る恐る階段を上がってみる。
確信はなかったけど、こういう時のカンって当たるものだ。
きっと屋上へは鍵がかかっていて出られないはず。引き返してくる水野君とも出会わなかった。
だとすると、そこにいるはずだ。
「あ……」
やっぱり。
いた!
見上げた先に屋上のドアの前の階段に座る水野君を見つけた。
水野君もまた私を見て、驚いたように目を見開く。
さっきまでの鋭い雰囲気は今は見受けられなかった。
思わず足が止まり、拳をギュッと握りしめる。
そして、スーッと大きく息を吸った。
「あ、あの! さっきはごめんね」
一息に言って頭を下げた。
あんなことで気を悪くするのもどうかと思ったけど、気に障ることを言ってしまったのは事実。
納得いかない部分も、そりゃ少しはあるけどさ。
だけど私が悪いよね。
「ロマンチストとか、余計なこと言っちゃったかな? 私、思ったことがすぐに口から出ちゃって……」



