駆け足で後を追いかけ、同じように廊下を曲がる。

ここは一階なので、上へ行く階段しかないから私は迷わず階段に足をかけた。

五階建ての大きな校舎。数年前まで各学年十五クラスあったので、四階までを教室として使っていたそうだ。

今は少子化の影響で生徒数がグンと減ってしまい、各学年十クラスにまで減っていて、二階は二年生の教室、三階は三年生の教室、四階は空き教室になっている。

二階と三階と四階には渡り廊下があり、職員室や移動教室がある北校舎と繋がっている。

「はぁはぁ」

上の階へ行くにつれて、一年生の教室とは違った独特の雰囲気を感じた。

二年生と三年生は学年組章の下地の色が違っているし、一年生とは違って初々しさが抜けて大人っぽい。

まだ入学したばかりの私はそれだけで目立つみたいで、階段を上がるたびに色んな人からの視線を感じた。

好奇の目から逃げるように、あっという間に四階にたどり着いた。

さっきまでの騒がしさはなくなり、シーンとしている。

水野君、一体どこに行っちゃったの?

息を整えつつ、背伸びして廊下の奥の奥までアンテナを張り巡らせる。

掃除が行き届いていないせいか四階はなんとなく埃っぽくて、視界が少し霞んでいた。

一階と同様に日射しが降り注いでいるけど、その中で埃がキラキラと輝いている。

どうやら、換気すらされていないらしい。

そこには静寂が広がっているだけで、人がいそうな気配はまったくない。

「み、水野くーん……」

人の気配がないのに呼んだって反応がないことは承知の上だ。

だけど彼を探してここまで来たんだから、こうなったらなんとしてでも見つけてやる。

恐る恐る廊下を進み、空き教室のガラス窓から中をそっとうかがってみる。