早く気づけよ、好きだって。


水野君は不服そうに私を見ている。

まるで私が全部悪いというように。

「ぶ、ぶつかったことは謝るけど、それ以外はなにも悪いことしてないから謝らないよ。っていうか、謝ってほしいのは私の方なんだからね」

初対面からストーカー呼ばわりされて、違うって言ってるのに信じてくれない。

そこまで疑い深いのもどうかと思うんだけど。

だけど男子が相手だし、特になにを考えているかわからない水野君だし、問題児だという噂のこともあるし。

内心ではビクビクしてしまう。

「なんで俺が謝るんだよ」

「ストーカー呼ばわりするからでしょ」

「だって、実際そうだろ」

「だからー、違うってば! 言っとくけど、水野君は私のタイプじゃないから! 私のタイプは笑顔が素敵で、内面の良さとか優しさが表情や雰囲気からじわじわ溢れ出てる人なんでっ!」

真顔で力説してやった。

だってやっぱり勘違いされたままじゃモヤモヤする。

「私は水野君のこと、これっぽっちもなんとも思ってないからっ! だから、勘違いされるのは本当に困るんだよ」

顔が火照って、呼吸が荒くなる。

肩に力が入り、思わず拳を握っていた。

ここまではっきりきっぱり、誰かに言ったのは初めてだ。

でも、疑いが晴れるならどう思われたっていい。

もともと嫌われているだろうから、今以上に心象が悪くなったって一緒だもん。

心を落ち着かせようと、ゆっくりと息を吐く。

私のすごい剣幕に気圧されたのか、水野君はさっきまでとは違って、ポカンと口を開けてなんとも意外な表情だ。