そして眉間に思いっきり力が入り、頬が引きつる。表情にも出てしまった。
どうして水野君がここにいるの?
こんなところで会うとか、信じられないんだけど。
水野君は怪訝に眉を寄せて、まっすぐに私を見下ろしている。
背が高くて、どことなく上から睨まれているような気がしないでもない。
〝なんでお前がここにいるんだよ〟
水野君の冷めた瞳がそう語っていた。
だけど、そう言いたいのは私も同じなわけで。
はぁとため息を吐きたい気持ちになる。
どうしてこんなところで会わなきゃいけないんだろう。
「またかよ、ストーカー」
どう言おうか迷っていると、水野君の口から信じられない言葉が飛び出した。
淡々としているけど、怒っているというよりも、呆れているといったような声だった。
「映画館までつけてくるとはな」
「だ、だから私はストーカーじゃないってば!」
「うそつけ、こんなところまで来やがって」
フンと鼻で笑いながら、なんてふてぶてしい態度だろう。
相変わらず嫌なやつ。
「観たい映画があったからだよ!」
学校では目も合わないし、私たちは友達と呼べる間柄でもない。
それなのに変わらずストーカー扱いするとか、どれだけ自意識過剰なんだろう。こっちは迷惑してるんだからね。
ちょっとは違う方向に物事を考えられないわけ?
たまたま会っただけなのに、それはないんじゃないかと思う。
やっぱり水野君は苦手だ。
誰とでも仲良くなれるタイプの私でも、水野君だけは無理。絶対に。
思い込みが激しすぎだし、言いたいことをズバズバ言って失礼極まりないったらありゃしない。



