「うっわ! 噂をすれば、水野じゃん! 久しぶりだなー! 元気だったか?」
佐々木君は声を弾ませて笑った。一方、水野君は無表情に私の肩を抱いている。
よくわからない展開続きで、ついていけない。
どうして水野君がここにいるの?
私の肩を抱いてるの?
なんでそんなに、不機嫌そうなの……?
会えて嬉しいというよりも、驚きのほうが強い。
「元気だけど。それより、夏目のこと」
「あー、冗談だよ。おまえにだけは、勝てる気がしねーもん」
「はぁ? 冗談って、なんだよ」
「悪い悪い。夏目さんも、ごめんな」
そう言いながら佐々木君は私の耳元に唇を寄せてきた。そして、水野君に聞こえないほどの小さな声でささやく。
「実は、こっちに向かって歩いてくる水野の姿が見えてたんだ。それで、つい気持ちを試してみたくなったんだよ」
「え?」
水野君を試したってこと……?
横目に佐々木君を見ると、目が合いニコッと微笑まれる。
「ってことだから、がんばれよ! じゃあな! 水野も、またみんなで集まろうぜ!」
明るくそう言い残して、佐々木君は人混みに紛れていった。
水野君と二人きり。突然のことにドキドキしすぎて落ち着かない。



