先生や看護師さんのほかに、蒼君のお母さんと思われる人。制服姿の瑠夏ちゃん。

「あ、あの……」

小さくそうささやくと、一斉にみんなが振り返った。

「桃ちゃん……春ちゃんも……っ」

瑠夏ちゃんは目を見開いて驚きを隠せていない。まさか水野君が一緒にくるとは思っていなかったようだ。

でも瑠夏ちゃんは目に涙をいっぱいためながら、私たちの顔を交互に見て笑ったんだ。その笑顔は、とびっきりかわいかった。

ん?

あ、あれ?

悲しいはずなのに、どうしてそこまで笑えるんだろう。

ふとそんな疑問が頭によぎる。

私たちはその場から一歩も動けず、ベッドにいる蒼君の状況がわからない。

「よかったわね、お友達がきてくれたわよ」

蒼君のお母さんらしき人がベッドにいる蒼君に笑いかける。

「マ、ジで……?」

えっ!?

今、声がした……?

「桃ちゃん! 春ちゃんも、早く蒼君に会ってあげて! やっと目を覚ましたんだよ」

「「えっ!?」」

目を、覚ました……?

わけがわからなくて、思わずポカンとしてしまう。

蒼君が、目を覚ましたって……。

「ほんのついさっき、急に手がピクッと動いて……それから、すぐに目を覚ましたのよ」

嬉しそうに泣き笑いをする蒼君のお母さん。

その場にいた誰もが、嬉しそうに笑っている。