早く気づけよ、好きだって。


男子の試合が始まる前に、外でみんなで写真を撮ろうということになった。そして、スマホを取りに一旦教室へと戻る。

校舎の中はシーンとしていて人の気配はない。教室に戻ってスマホを手にし、ホームボタンを押す。顔認証でロックを解除し、中を見ると電話のマークのところに大量の着信を知らせる表示があった。

十回も誰がかけてきたんだろう。なぜだか嫌な予感がした。だってこんなにたくさんの着信。なにかあったってことだよね。

スマホを操作する手が震える。

着信は全部、瑠夏ちゃんからのものだった。嫌だ、嫌だよ。そんなはずはない。だって……。

悪い予感しかしなくて、固まったまま動けない。最後に電話があったのは、ついさっきだ。

すぐにかけ直さなきゃいけないことはわかってる。でも、どうしてもボタンを押すことができない。

背中に冷や汗が伝う感覚。ヒヤリとするほど心臓が冷たい。でも手には汗をかいていて、へんに胸が高鳴っている。

いつまでこうしていても、なにも進まない。意を決して、私は瑠夏ちゃんに電話をかけ直した。

「も、桃ちゃん!? 蒼君が——! 蒼君が……っ!」

瑠夏ちゃんは電話口で泣いていた。切羽詰まったような取り乱した声。なにを言っているのか聞き取れなかったけど、蒼君になにかあったのはまちがいないようだ。

「すぐ行くからっ! 待ってて!」

そう言って電話を切ると、引ったくるようにカバンを掴んでそのまま教室を飛び出した。