まさか同じクラスだとは、あの時は夢にも思わなくて。
あとから教室にきた彼にギョッとしてしまった。思わず目が合ってしまい、彼も私に気づいて目を見開いていたけれど。
不意にプイと顔をそらされ、幸いにも彼はそれ以降私に絡んでくることはなかった。
私もまたストーカー扱いされるのが嫌で、無意識に関わることを避けてしまっている。
誤解が解けたかどうかはわからないけど、隣にいても目が合うことはないし、蒸し返すのもどうかと思って放置しているんだ。
っていうか、謝ってもらってないことだけが気になるんだけどね。
「あれ、もしかして水野君に気がある?」
肩をツンツン突かれハッとする。
皐月はニヤニヤしながら私を見ていた。
「そ、そんなわけないじゃん! やめてよー! ありえないからっ!」
ないないと、身振り手振りで否定する。
やめて、ほんとに。
ありえない。
そりゃ、最初に見た時はカッコいいって思ったけどさ。
でも、性格が最悪だもん。
水野 春(みずの しゅん)、それが彼の名前。
「水野君、カッコいいじゃん。クールで近寄り難いけど、そこがまたよくない?」
「やめてよ。皐月も知ってるでしょ? 私とヤツの最悪の出会いを。ストーカー扱いされたんだよ? それなのに、気があるわけないじゃん」
「まぁ、あのルックスだからね。すごく目立つし、ストーカーされた過去があるのも頷けるよ。トラウマになってても、おかしくないかもね」
「だけど、いきなりストーカー扱いだよ? 人の話も聞かずにさぁ」