「ドジでのろますぎて、目が離せなかったんだよ!」
「ドジ……のろま……? ひどっ」
「つーか、佐々木に手取り足取り教えてもらってるんじゃねーのかよ?」
水野君はゆっくりこっちを見る。その目はじとっと私を睨んでいるようにも見えるけど、すねているようにも見える。
だけど不思議。全然怖くない。むしろ、なんだか……かわいい。
「教えてもらってるけどマンツーマンってわけじゃないし、みんなも一緒だもん」
「へえ、みんなの前で手取り足取り教えてもらってるんだ?」
「言いかた……せっかく教えてくれてる佐々木君に失礼じゃん」
べつに手取り足取り教えてもらってるわけじゃなくて、普通に口でだけどね。
「佐々木の肩を持つんだ?」
なぜだかだんだんと不機嫌になっていく水野君は、いちいち私に突っかかるような言いかたをする。
いったい、なんなの?
よくわからない。
「肩を持つとかじゃないよ。でも、佐々木君より水野君に教えてもらうほうが、私は好きかな」
水野君の目を見つめながら、満面の笑みを浮かべる。
「なっ……なに、言ってんだよ。バカじゃねーの」
戸惑いながら瞳を揺らして、みるみるうちに赤くなっていく水野君。私に褒められたのが、そんなに嬉しかったみたい。