珍しく皐月がムキになって水野君に突っかかる。水野君はそれを無表情に聞いていた。そんな水野君がなにを考えているかなんて、全然わからない。
「さ、皐月、私が勝手に行動を起こしたんだよ。水野君はなにも悪くないって」
「桃は黙ってて。桃はね、大事な親友なの! 傷つけたら、許さないんだからねっ!」
「皐月……」
ありがとう。私のこと、そこまで心配してくれて。でもこの件に関しては、悪いのは私だよ。
「悪かったな……巻きこんで」
「ほんとに? ほんとに悪いと思ってる? 水野君って、無愛想で無口で怖いし。思ってることが伝わりにくいんだよね」
「さ、皐月……!」
なにもそこまで言わなくても。さすがの水野君も、怒るよ。さっき、ものすごく怖かったんだからね。
「本気で悪かったと思ってる。このとおりだ」
あろうことか、水野君が私たちに向かって深々と頭を下げた。私は信じられない思いでそれを見つめる。
「み、水野君は悪くないよ。それより、怪我してない? 足は大丈夫?」
思いっきり踏まれてたよね。体中、たくさん蹴られてたよね。
「大丈夫だから。それより、マジでごめん」
「い、いいよ! もう、謝らないで」
そんな風に謝ってほしかったわけじゃない。



