早く気づけよ、好きだって。


「よっぽど痛い目に遭いたいんだろ。こいつごとやっちまうぞ」

「マジでー? 俺、女を蹴る趣味とかねーんだけど」

「うだうだ言ってねーで、さっさとやるぞ」

「わ、わかったよ。仕方ねーな」

言葉で通じる相手じゃなさそうだ。私も覚悟を決めなきゃ。迫りくる衝撃に耐えようと、必死に唇を噛みしめる。

そして水野君の両足にしがみついて、ギュッと力をこめた。

絶対に守ってみせる。そう、願いをこめて。

「おま、え。マジで、バカだな。なに、してんだよ。逃げろって。俺のことなんか、ほっとけよ」

苦しそうに声を振り絞る水野君。

私はブンブンと大きく首を横に振った。

「逃げないよ……! 絶対に」

「なん、で……っ」

「ここで逃げたら……もう二度と水野君と向き合えないような気がするから」

「バカじゃ……ねーの」

「いいよ、バカでもなんでも」

男が足を振り上げたのが気配でわかった。

蹴られる……!

そう思った瞬間、それまで無抵抗だった水野君がいきなりガバッと起き上がった。そこからはあまりにも一瞬の出来事で。

気づくと私の体は水野君の両腕によってキツく抱きしめられていた。

——ドカッ

鈍い音がしたけれど、私の体はどこも痛くない。