早く気づけよ、好きだって。


「はぁ、楽しかったねー! 久しぶりに歌ったー!」

「皐月、声ガラガラだよ」

「だーって、桃ったら全然歌わないんだもん。私が歌って、盛り上げるしかなくない?」

「あはは、ごめんごめん。そんな気分になれなくてさ。でも、楽しかったよ! ありがとう」

「そう? ならよかった」

皐月が心配してくれているのがひしひしと伝わってきて、温かい気持ちになる。

そのあと皐月とファストフード店に入って、食欲がなかった私は飲み物だけ購入して窓際の席に着いた。

いろいろ突っ込んで聞かれるかと思ったけど、皐月は他愛ない話をして私のことには一切触れてこない。

気をつかってくれているんだよね。

ありがとう、皐月。

「ねぇ、あれって水野君じゃない?」

「え?」

皐月はポテトをつまみながら、透明のガラス窓の外に目をやって一点を見つめている。同じように私もそこに目を向けた。

そこにはガラの悪い男子三人に囲まれている水野君の姿があった。水野君の両腕を左右からがっしり掴んで、路地裏へ引っ張りこもうとしているように見える。

「もしかして、絡まれてる? なんだか、ヤバそうな雰囲気じゃない?」

皐月がポツリとつぶやいた。

「水野君、愛想悪いから突っかかっていきそうだよね」