「えっ!? は?」

初めて水野君が動揺してみせた。足元が狂ったのか、ボールがあらぬ方向へといってしまう。そこでリフティングは終わった。

「夏目、おまえマジでなに言ってんだよ」

怪訝に眉を寄せながら、水野君がこっちに歩いてくる。そして上から私の顔を見下ろす。その目は、明らかに動揺していた。

「好き、なんでしょ? 瑠夏ちゃんのこと。水野君の顔に、そう書いてあるもん」

ああ、私はなにを言ってるんだろう。自分から傷つきにいくなんて。でも、私の頭の中は昨日の水野君の泣き顔でいっぱいなの。

私にできることはなんだろう、どうにかしてあげたいって思った。余計なことをするなって言われるかもしれない、でももう水野君のツラそうな顔は見たくないんだ。

「それに、会いたいんでしょ? 蒼君に。会いに行こうよ」

「俺が蒼に会いたい……? そんなわけ、ないだろ。瑠夏のことだって、なんとも思ってねーよ」

「だったら、ちゃんと私の目を見てそう言ってよ。このままなにもしないでいたら後悔するって教えてくれたのは、水野君だよ?」

後悔してるんでしょ?

本当は謝りたいんでしょ?

でも動けずにいる。だから苦しいんだ。