「とりあえず、これで大丈夫だ」
「ほ、ほんと?」
「ああ。ここ最近かなり寒くなってるし、ただの風邪だろう。熱が下がれば、意識もすぐに戻るよ」
あれからすぐに蓮と蓮のお父さんが駆けつけてくれて、車で水野君を蓮の家に運んだ。
蓮のお父さんは医者で、今日は休みでたまたま家にいたらしく、事情を聞いて一緒にきてくれたのだ。
「よ、よかった……」
ホッとしたら一気に気がゆるんで、張りつめていた糸が切れた。じわじわと目に涙が浮かんで、流れ落ちる。
水野君にもしものことがあったら、どうしようかと思った。
でも、なにもなくてよかった。
ほんとによかった。
「それにしても、この子はよく体を鍛えているな」
「え?」
「ここまで綺麗に筋肉を鍛えるのは、プロでも難しい。脂肪もほとんどないみたいだし、インナーマッスルがよく鍛えられていていい身体をしているよ。相当努力してるんだな」
蓮のお父さんはスポーツ外来専門のお医者さんで、プロの身体もたくさん診察しているらしい。
「水野君は……中学の時クラブユースの選手だったの。理由があってやめちゃってからは、サッカーはしてないみたい……」
「いいや、この子の身体はまちがいなくスポーツをしている身体だよ。やめた今でも、毎日してるんだと思うぞ。それほどサッカーが好きなんだろう」



