早く気づけよ、好きだって。


その日のお昼休み、佐々木君が水野君のところまでやってきた。

「今から昼飯食いながら、球技大会の作戦立てるんだけど。水野も参加しろよ」

「はぁ? なんで俺が」

「サッカー経験者なら、一致団結しねーと優勝なんて無理だってわかるだろ。サッカーはチームプレイなんだから」

「めんどくせー」

「水野だって、学食の無料券がほしいだろ? クリスマスメニューがタダで食べられるなんて、レアなんだぞ!」

佐々木君はバンッと机に手をついた。どうやら、そこまでして優勝したいらしい。

「バカみてー」

「み、水野君……なにもそこまで言わなくても。それに、みんなも乗り気だしさ。一緒にがんばろ?」

私だってここまでがんばってるんだ。どうせなら結果を出したい。

「そうだそうだ! 水野がいれば、百人力なんだからな」

佐々木君が私の言葉に大きく頷く。ほとんど話したことがない人だけど、騒がしくて頼もしい人だ。

「うるさいのが二人に増えたな」

冷たくそう言い放って、水野君は席を立った。そして教室を出て行く。

なにもそんな言い方をしなくても。仲良くなれたと思っていたのは、私だけだったのかな。だったら、すごくショックだ。

迷いながらも、私は花壇の前に向かった。

「なんだよ? まだなにか言い足りないのか?」

水野君は無表情で私に言う。まだ不機嫌なのが丸わかり。

「ちがうよ、水野君が言ってくれたんじゃん。ここでお昼を食べるって。だからきたんだよ」

「いいのかよ、ほかの男と二人きりになって」

「なにそれ、どういう意味?」

「須藤、だっけ? 付き合ってるんだろ? 朝、すっげーいい感じだったよな」

ヒヤリとするほど冷たい視線を向けられた。出会った頃みたいに、人を寄せつけないようなオーラを放っている。

「なに言ってんの、蓮とはそんなんじゃないから」

「隠さなくてもいいから。毎朝一緒に登校してるんだろ? 夏祭りの時も、途中で二人で消えたもんな」

「だから、そんなんじゃないって」

「ふーん、ま、夏目のことなんてどうでもいいけど」

グサッと胸に突き刺さるキツい言葉。わかってるよ、そんなこと。いちいち言わないでよ、水野君に言われるとすごく傷つくんだから。

「私、戻るね。なんだか、怒ってるみたいだし」

一緒にいるのが気まずくて、私はきた道を引き返す。不機嫌な水野君とは、一緒にいたくない。

これ以上傷つくのは嫌だ。

「待てよ」

後ろから力強く腕を掴まれた。

「な、なに?」

「ごめん、俺なんだか自分でもわかんねーけどイライラして……。夏目の顔、見たくないって思った」

えっ?

ショック……。

私、変なことしたかな。

「わっかんねーんだよ、自分でも。なんで今、おまえを引き止めたのか。わかんねーんだ……」

そ、そんなこと言われても、私のほうが余計にわからないよ。