「ね、眠い……ものすごく」

現在朝の四時半。まだ外は真っ暗で、頭もボーッとしている。眠い目をこすりながら、ジャージ姿で家を飛び出した。

自転車だと総合公園まではすぐだけど、こんな時間に起きてることってまずないから眠い。

総合公園に着くと私はグラウンドを目指した。

「おせーよ」

キキーッとブレーキ音を響かせながら自転車をとめた直後、水野君からのそんなひとことが飛んできた。

有名なスポーツメーカーのウェアに身を包んだ水野君は、いつもの制服姿とはまたちがってカッコいい。

「ごめん、でもまだ五時になってないよね?」

グラウンドの真ん中にズドンと立っている柱時計に目をやると、約束の五分前だった。

「こういう場合、十分前にくるのが当然だろ」

「うっ、なかなかスパルタだな」

そう言うとギロッと睨まれた。朝が早いにもかかわらず、水野君の額には汗が浮かんでいる。

「そういえば、水野君の最寄り駅って、たしかここより三つもあとだよね?」

こんな時間に電車って動いてるの?

「走ってきたんだよ、走って」

「は、走って?」

ウ、ウソー!

水野君の地元はここから五キロ以上も離れてるんですけど!

走ってきたの?

「こんぐらいの距離なんてなんともねーよ。夏目も明日から走ってこいよ。自転車禁止な」

「えっ!」