私が泣くのはまちがっている。わかっているのに、涙が止まらない。
本当にツラくて苦しいのは、ずっとそばで見てきた瑠夏ちゃんで……。
私には瑠夏ちゃんの気持ちを少しもわかってあげられないはずなのに。
どうしてかな、ツラくて苦しいよ。
蒼君が水野君に言えなかった病気のこと、私なんかの口から簡単に言えるわけがない。簡単に言っていいことじゃない。そこにどれだけの想いがあるかを知ってしまったから。
蒼君は今でもサッカーが大好きでたまらないんだ。命を危険にさらしてまで、水野君との夢を叶えたかった。もう二度とサッカーができないなんて、信じたくなかった。
「蒼君は春ちゃんにサッカーを続けてほしいって心から願ってる。あいつはプロにならなきゃダメだって、病気になってからもいつも言ってたから。私はねっ……そんな蒼君の願いを叶えたいんだ。だって……蒼君のために私ができることって、それくらいしかないから……っ。蒼君が目を覚ましてくれるなら……私は、なんだってやるよっ」
嗚咽をもらしながら泣く瑠夏ちゃんの背中をさする。
この前水野君が瑠夏ちゃんに元気がないって言ってたのは、もしかしたら蒼君のことが原因だったのかな。だとすると、私はそんな瑠夏ちゃんに追い打ちをかけるようにひどいことを言っちゃったの……?
私……最低だ……っ。
瑠夏ちゃんのこと、考えてなかった。
どうしてそんな最低なことをしたんだろう。
「瑠夏ちゃん……ごめんねっ。私……」
知らなかったでは、済まされない。
涙があふれた。
瑠夏ちゃんはなんで私が謝ったのかわかっていないようだったけど、二人してたくさん泣いた。