そして涙混じりに言った。
「まだ……っ意識が戻らないのっ」
ドクンと心臓が跳ねた。
だって、高校生で生死に直面するなんて……。まさか、そんなことが起こるなんて。想像もつかない。
瑠夏ちゃんが抱えていることは、私の頭では想像ができないくらい深くて、繊細で。その華奢な体で、そんなに大きなことを抱えているなんて思いもしなかった。
だって、普通に笑ってたから。悩みなんてないって、思っていたんだ。
「蒼君ね、もう二週間も眠りっぱなしなの……こんな姿、春ちゃんには見られたくないと思うから、春ちゃんにだけは言わないでね……っ。蒼君、きっと自分でも認められなかったんだと思う……もう二度と、サッカーができないなんて……受け入れられなかったんだと思う。次に倒れたら命はないって言われても、春ちゃんと一緒にワールドカップに出るっていう夢を捨てきれなかったんだよっ……! 春ちゃんに病気のことを言うと、本当にサッカーができなくなるって認めなくちゃいけない気がして、怖かったんだと……思うんだ。蒼君がどれだけサッカーを愛していたかは、私が一番よく知ってるから……っ。だから、目を覚ましたくないんだよ……っ。ツラい現実に直面したくないんだよ……っ。眠ったままで意識がなくても……蒼君は、目を覚ましたら傷つくことになるって、わかってるんだよ……このままずっと、目を覚まさなかったら……私、私は……っどうしたらいいの?」
鼻の奥がツンとして、喉が焼けるように熱い。ジワッと涙があふれて頬を伝った。
もしも神様がいるのなら、なんて意地悪なんだろう。どうして蒼君だったの。サッカーが大好きで、ひたむきに頑張っていたのに……。
どうしてそんなにひどい仕打ちをするの?



