ふと近くにあった時計を見てハッとした。

「ごめん、私、おばあちゃんのところに行かなきゃ!」

「おばあちゃん?」

「うん、ショッピングモールの裏の大学病院に入院してるの! お見舞いのついでに、洗濯物取りに行かなきゃ」

慌ててドーナツを食べ、飲み物を飲んだ。喉に詰まりそうになりながら、なんとか食べ終えるとカバンを持って席を立つ。

あぶないあぶない。みんなで話し込んでいたら、ついつい忘れてしまいそうになっていた。

水野君のことも気になるけど、つい最近骨折して入院したおばあちゃんのことも心配だ。

私は足速にショッピングモールを出て、駅の裏手側に回った。そして隣接している大きな大学病院に向かう。

病院の中は外来が終わっているからなのか、ロビーにもそこまで人の姿は見当たらない。

受付で病棟を確認してから、おばあちゃんが入院しているという整形外科病棟を目指した。

心臓外科と脳神経外科が有名なこの大学病院には、全国からいろんな患者さんが押し寄せてくるらしい。

整形外科の病棟は南棟の二階にあった。同じ階にある渡り廊下を挟んだ西病棟は、心臓外科の病棟で患者さんは比較的年配の人が多い。