「危ない目に遭いたくないでしょ? だから、早く!」
「あは。桃ちゃんって、ほんと面白いよね。普通、おぶってあげるなんて言わないって」
目に涙まで浮かべてそれを手で拭う麻衣ちゃんは、私に頼る気はないらしく一向にその場から動こうとしない。
「おい、おまえら! マジで許さねーからな! 覚悟しろよ!」
そうこうしている間に男が追いかけてきた。
「ま、麻衣ちゃん……! 早く!」
「俺は足だけは速いんだからな!」
モタモタしている間に追いつかれ、すぐ目の前まで迫ってきた。仕方ない、こうなったら私が全力で麻衣ちゃんを守るしかない。
男の顔を睨みつけるように下から見上げる。
「ま、麻衣ちゃんは、私の大切な友達なんだからね! 傷つけたら、私が許さないから!」
「はぁ? 友達? おまえらが?」
「そうだよ! いろいろあって今は嫌われちゃったけど、私にとっては友達なの!」
いつもニコニコしていて、可愛らしい麻衣ちゃんが大好きだった。憧れだった。もっと……仲良くなりたかった。でも、無理だった。
「麻衣、この凶暴女はマジでおまえの友達なのか?」
えっ?
「そうだよ、悪い?」
んっ?



