ここ最近なんだかずっとモヤモヤしている。心に引っかかっているっていうのかな、刺さったトゲがいつまでも抜けずにチクチクして痛いっていう感じ。

「っていうか……瑠夏ちゃんにひどいことを言ったのに、怒らないんだね」

「怒る? 俺が?」

キョトンとしている水野君は、その意味がわかっていなさそう。

「水野君の大切な瑠夏ちゃんを傷つけちゃったから……」

「部外者の俺が怒る権利なんかねーよ。それに、後悔してるんだろ?」

「…………」

「もろそんな顔してる」

そう言われてなにも言い返せなかった。認めてしまうと、これから瑠夏ちゃんと向き合わなきゃいけなくなる。

まだそこまでは気持ちが向かない。今はまだ、このままでいたい。

それって、いけないことかな。

「いいんじゃねーの?」

「え?」

「今はまだこのままで。でも……」

なにも言わなくても、私の言いたいことがわかったらしい。それまで優しく微笑んでいた水野君が急に真顔になった。

眉を下げてどこか寂しげな表情。私と目が合うと、水野君は目を伏せて黙りこんだ。

しばらくしてから顔を上げて私の目を見つめ、力強く言い放った。

「いつまでもそのままでいたら、絶対に後悔する」

後悔という言葉が胸の中に響きを持って落ちてくる。

そんなにまっすぐな目で私を見ないで。まるで責められているような気分になる。

「そんなこと、わかってるよ……」

わかってるけど、どうすることもできない。

「俺も……あるから」

「え?」

「大事なダチに……ひどいこと言って、傷つけた。それから会ってねー。会えるわけ……ない」

そう言った水野君の声はとても弱々しくて、今にも消えてしまいそうなほどだった。