無神経なことを言ってくる瑠夏ちゃんが嫌だった。
水野君に想われている瑠夏ちゃんが羨ましかった。ただそれだけなんだ。
「八つ当たりなんだけどね……あの時は私の心に余裕がなくて」
こんな言い訳じみたことを言っても、結果的に私が瑠夏ちゃんを傷つけたことに変わりはない。でも全部私が悪いのかなっていう気持ちもどこかにある。
いや、私が悪いんだけど。でも……まぁ、たしかにあそこまで言うことなかったよね。それは反省してる。
「そういうことか。納得したわ。ただのケンカってわけか」
「え?」
意外にもあっさりしている水野君の反応にビックリした。だってもっと、深刻な感じで悩んでいるのかと思ったから。
「ケンカっていうか……私が一方的にイライラして、ひどいことを言っちゃったんだよ」
「ふーん。それで、夏目はどうしたいんだよ?」
ふーんって、めちゃくちゃ興味がなさそうな言い方。でもだからこそ、なんだかホッとしている私がいる。
私が大切な瑠夏ちゃんを傷つけたのに、水野君はスッキリしたような表情。
「どうしたいって……そんなの、わからないよ」
謝るべきなんだと思う。でもそうすることは自分の中でいまいちピンとこないというか、ちがう気がして。
でもそうしなきゃいけないことはわかっているんだけど、もどかしいというか。