水野君は私の隣に座った。そして再び私の顔を覗きこむ。水野君は水野君なりに、私のことを心配してくれているんだろうか。

「瑠夏もなんだか元気ねーし、なにかあったってバレバレなのになんも言わねーんだよな。瑠夏のこと、なんか知ってる?」

なんだ、そういうことか。水野君は私の心配をしてたわけじゃなくて、瑠夏ちゃんのことを気にしていたんだ。

瑠夏ちゃんのことを私に聞きたかったから、ここにいるんだね。じゃなきゃ、水野君がここにいるわけがない。

いつだって水野君の中には瑠夏ちゃんしかいないのに、少しでも浮かれた自分がバカみたい。

「瑠夏ちゃんだって、水野君に話したくないことのひとつやふたつはあるんじゃないの? それを私の口からは言えないよ」

なんていうのは言い訳で。瑠夏ちゃんに元気がないのは、この前私があんなことを言ってしまったからなのかもしれない。

私のせいだってことを水野君に知られたくなかった。卑怯だよね、ズルいよね。水野君は本気で瑠夏ちゃんのことを心配しているのに、自分の身を守ることしか考えられない。

こんな自分は嫌だ……。

拳をギュッと握りしめた。

「ほんとはね……この前、電車の中で私が瑠夏ちゃんにひどいことを言っちゃったんだ。なんでも突っ込んで聞いてこられることにイライラしちゃって……」