「そんなに毎日一緒っていうわけじゃないから、大丈夫だよ。それに、今日は一人でいたい気分なんだよね」
そう言って優しく微笑む瑠夏ちゃん。
一人でいたいの?
「じゃあ、私に話しかけちゃダメじゃん」
「あ、いいのいいの! 桃ちゃんは特別だから」
「特別?」
いまいちよくわからなくて首をかしげる。
「春ちゃんが心を許した女の子だから、私にとっても特別なんだよ」
「な、なに言ってんの。水野君が私に心を許すわけがないよ」
もしかしたら嫌われているのかもしれないんだから。
そんなことを考えたら暗い気持ちになる。
ダメだ、今はどうやってもネガティブな方向にしか考えられないよ。
「小さい頃から知ってる私が言うんだから、まちがいないって」
「でも」
「ほんとだよ」
「…………」
「私の言葉を信じなさい」
瑠夏ちゃんはそう言うけれど、私にはそうは思えない。でももうこれ以上のやり取りも疲れるので、私はなにも言い返さなかった。
瑠夏ちゃんのことは嫌いじゃないし、仲良くしたいとも思っている。でも、なんでだろう。
心のどこかで、なにかが引っかかっている。瑠夏ちゃんといると、どうしても水野君のことがチラついて黒いモヤモヤが胸に広がる。