逃げるような真似をしている自分が情けないけど、皐月や麻衣ちゃんだって私に会いたくないよね。会ってもスルーされるだろうし、ヒソヒソなにかを言われるのも嫌だ。
でも、このままじゃいけないことはわかってる。
どうすればいいの……?
今まで友達関係でトラブったことはなく、こんなことは初めてだから戸惑う。
色々考えているうちに電車がきて、目の前で停車する。駅には同じ制服を着た人がたくさんいて、いつのまにか私の後ろにも列ができていた。
電車に乗ってうつむきながら立っていると、背後に人の気配がした。見覚えのあるグレーのスカート。
「やっほ、桃ちゃん」
「え?」
突然話しかけられてビックリした。振り返るとそこには笑顔の瑠夏ちゃんがいて、私に向かって小さく手を振っている。
「瑠夏ちゃん」
「久しぶりだね! 元気だった?」
「あ、うん。ほんと、久しぶり」
お祭りの日以来だから、もうずいぶん会ってない。っていっても、私たちは二人で会うような間柄じゃないんだけどね。
「私、いつもこの車両なんだけど桃ちゃんは?」
「私はもっと前のほうだよ。今日はたまたまここに乗ったの。あ、さっき水野君が駅にいたよ? 一緒に帰らないの?」