「ちょっと今、桃のこと信じられないっていうか……こんな気持ちのまま一緒にいたくないんだよね」

皐月の言葉にグサッと胸になにかが突き刺さった。蔑むような感じの視線に、胸の奥にヒヤリと冷たい空気が流れ込む。

「信じられないって……どうして?」

私が皐月の信用を失うようなことをしちゃったの?

どんな?

もちろん、身に覚えはない。あったらとっくに謝ってる。

「そんなの自分で考えなよ。とにかく今は桃といたくないから、放っておいてくれる?」

「自分で考えてもわからないから……だから」

聞いてるのに。

どうして教えてくれないの?

「桃のそういうなんでもかんでも聞いてくるところ、正直めんどうなんだよね。言いたくないことってあるし、言えないことだってあるんだよ」

「で、でも、私は皐月と仲良くしたいから……」

大好きだから、聞いてるのに。

それがめんどうなの?

皐月は真剣な眼差しで私を見ている。

「空気を読んで察してよ。今は無理だって言ってるの。じゃあ、約束があるから」

プイと顔をそらされ、スタスタと歩いて行く皐月。

ここまではっきり言われて、皐月を追いかけることは今の私にはできなかった。