「さ、皐月!」

その日の放課後、帰ろうとしていた皐月の背中に声をかけた。

ちゃんと話そう。理由を聞こう。今度こそ、ちゃんと。じゃなきゃ、謝るにも謝れない。それに、気になって仕方ないから。

皐月は私の声なんて聞こえていないかのように、スタスタと歩いて教室から出ようとする。

「待って、皐月。話があるの」

理由を言ってくれるまでは、いくらスルーされてもしつこく聞く。そう覚悟して皐月の前に周り、顔を見上げる。

皐月と目が合い、冷たさを含んだような視線にひるみそうになったけれど、負けちゃいけないと気合いを入れた。

「私に悪いところがあったなら、ちゃんと言ってくれないかな?」

「え? なんのこと?」

キョトンとしながら皐月は目を瞬かせる。

「あ、明らかに私のこと避けてるよね? なんだか様子がおかしいもん。麻衣ちゃんにも、スルーされちゃったし……」

言ってて胸が苦しくなった。仲がいいと思っていたのは、私だけだったのかな。

「なにかしちゃったんなら謝りたい。もう一度、皐月と仲良くしたいよ……」

思わず本音がもれていた。

皐月はしばらく黙り込んだあと、気まずそうに私から目をそらす。