いつもなら先生がくるまで皐月としゃべっているけど、皐月は前を向いたままこっちを振り返る気配がない。
なにやらスマホをいじって、誰かとやり取りしているようだった。
「皐月っ──」
そう言いかけたところで先生がやってきたので、伸ばしかけた手をそのまま自分のほうに引っ込める。
私の声は皐月に届かなかったのか、皐月が振り返ることはなかった。
距離が近いし、声もわりと大きかったから聞こえたと思ったのにな。
なんだかおかしいなと思いつつも、ホームルームが始まった。
それから整列して体育館へ移動すると、始業式が始まって、本格的な二学期の幕開けとなった。
数日経っても休み気分がなかなか抜けなくて、学校生活に慣れるまでは身体がとてもツラかった。
「皐月、次は移動教室だよ。早く行こう」
「ごめん、寄るとこがあるから先に行っててくれる?」
「え? じゃあ、私も一緒に行くよ」
「ううん、大丈夫だから」
きっぱり断られてしまった。最近、なんとなくだけれど皐月の様子がおかしい。
いや、気のせいかもしれないけど。でも、なんとなくおかしい気がする。
避けられているというか、私に対してすごくよそよそしい。話しかけてもそっけない返事しかしてくれないし、なによりも皐月から声をかけてくることがなくなった。
笑いかけてくれることもなくて、なんだかとてもモヤモヤする。
私……なにかしたのかな?
気づかないうちに、皐月になにかしちゃった?
「なにかあるなら言ってね?」
考えてもわからないから、直接聞いてみた。



