「あ、お、おはよう!」
寝ぼけ眼の水野君に、テンパる私。前までなら普通にできたのに、今はそれができない。妙に照れるというか、どう接すればいいんだろう。
どんな顔をすればいいんだろう。
私、前までどんな風にしてたっけ?
……思い出せないよ。
「きょ、今日も暑いね! 夏休みはあっという間だったなぁ。水野君はなにして過ごしてたの? わ、私はね、中学の友達と買い物に行ったり、蓮と一緒に宿題やったり……あ、家族旅行にも行ったよ!」
って、聞かれてもいないことをペラペラと、なにを言ってるんだ、私は。水野君が真顔で見つめてくるから、なにか話さなきゃいけないと思ってしまった。
そうじゃないと、いつもみたいにスルーされると思ったから。
「相変わらず朝からマシンガンだな」
小さく噴き出しながら、反応してくれる水野君。そこに、前までの冷たさはない。
「少しは静かにできないのかよ」
机に頬杖をつきながら、流し目で見てくる水野君にドキドキする。
「い、いつもうるさいわけじゃないもん」
「俺が知る限りではうるさいけどな」
うっ、そんなにはっきり言わなくても。
「あ、お祭りの時はごめんね。あの時……蓮と出会う前、何か言おうとしてたよね? 蓮が来たから言えなかったんじゃない?」