この気持ちは、今はまだ私の中だけにとどめておきたいものだから。それにね、水野君を好きなことにまだ戸惑ってる私がいるんだよ。
「今日の蓮はなんだかいつもと違うよ。いつもなら、こんなこと言わないじゃん。私の気持ちを察してくれるよね。それなのに、今日は意地悪だよ」
いったい、どうしちゃったの?
「俺だって……言いたくて言ったわけじゃねーし」
蓮は急にシュンとなった。まるで怒られたあとの子どもみたいに、伏し目がちにうつむく。
蓮……?
「桃が悪いんだろ。あんな顔で、あいつを見てるから」
「えっ?」
あんな顔……?
あいつを見てるから?
「それに、今日だって……いつもよりオシャレだし。なに気合い入れてんだよ」
「えっ……?」
蓮の言いたいことがよくわからない。
思わずぽかんとしていると、蓮の手が私の手から振り払われる。そして、頭に伸びてきた。
「バーカ」
そう言いながら私の頭をくしゃくしゃに撫で回す蓮は、どこかふてくされたように唇を尖らせている。
「マジで桃はバカだよな。呆れるくらい」
「ひどっ」
「どっちがだよ。俺がどれだけ大事にしてるかも知らないで」
「さっきから、わけのわからないことばっかり言ってるよね。なにが言いたいの? よくわからないよ」