とても真剣な表情。ゴクリと唾を飲んだのがわかった。
「俺さ——」
水野君が口を開きかけた時だった。前からおみくじを引き終えた人がやってきて、私たちのすぐそばに立った。
「桃?」
「え?」
すぐそばから視線を感じて顔を上げると、薄暗い中でこっちを見下ろす人物が。その人はおみくじを木にくくりつけようと、腕を上にあげたところだった。
「蓮? なんでここに?」
いや、聞かなくてもわかる。お祭りにきてたんだよね。クラスの人と行くって言ってたし。
でも、なんでこんなところで出会っちゃうわけ?
偶然にもほどがあるでしょ!
蓮はタイトな黒のパンツに淡いブルーの半袖のシャツを着て、綺麗な格好をしている。今日も眼鏡ではなく、コンタクト姿だった。
「なんでって、おみくじ引きにきたんだけど。で、木に結ぼうかと」
蓮はごもっともなことを返してきた。そして私の隣にいる水野君に目を向ける。
うわー、よりによって水野君と一緒のところを見られるなんて。
私の好きな人が蓮にバレるなんて恥ずかしすぎる。
蓮は水野君に向かって「どうも」と軽く会釈をする。だけど水野君は無反応。笑顔の蓮に対して、水野君は無表情。そして言葉もない。
「いつも桃がお世話になってます」
だけど蓮は、そんな水野君にさえも相変わらずの猫かぶりスタイルを見せる。
「いやいや、なってないから。逆に私がお世話をしてます」
蓮がそんなことを言うもんだから、思わず言い返してしまった。



