今日は水野君のことを一度にたくさん知れた気がする。

こんな風に自分の気持ちを話してくれるのは、やっぱりすごく嬉しい。

私には心を開いてくれていると思ってもいいのかな。なんだか自惚れすぎているような気もするけど、今日一日で距離がグッと近づいたような気がする。

「ま、これからも仲良くしてよ。私と話すことで水野君が元気になれるなら協力するからさっ」

勝手に友達になったつもりで水野君の肩をパシッと叩く。すると、なぜか今度はじとっと見られた。

「そういう暑苦しいとこ、やっぱ似てるわ」

そう言って笑った水野君は、とても……。そう、とても悲しげな顔をしていた。

ズキンと胸が痛む。そんな顔、しないでよ。

「それって、蒼君っていう人のこと……?」

「…………」

水野君は私から目をそらして黙り込んだ。重苦しい沈黙が、肯定であることを告げている。

「さっき、瑠夏ちゃんからチラッと蒼君のことを聞いたんだ。水野君と仲が良かったんだってね。それで、しつこいところが私に似てるって?」

水野君の親友であり、瑠夏ちゃんの好きな人でもある蒼君が、なんらかの形で水野君を苦しめていることが伝わってきた。

触れてはいけない、開けてはいけないパンドラの箱。水野君を見ていたら、蒼君はそんな存在なんだと思い知らされる。

いったい、なにがあったんだろう。