月に叢雲花に嵐

なんて、良いお品なの。
何処から手に入れてきたの。

聞きたいことは一つに絞り込めない。

「誰にも言わないで下さいましよ。実は、榮妃様の衣裳です。掠め取ってきました。もう、何年も着ていらっしゃらないお品ですから、平気。誰にも言わなければバレやしませんわ。」

バレやしない、ねぇ。
それを吾は、信じてもいいのかしら。

でも、着るものももう、破れてたりして着れるものではない。

「この様な良いお品を、一度限りで捨ててしまうとはね。なんとも見栄張りな女だこと。」

本当に、馬鹿な女。
吾が言ってもいいのかは、もう、分からないけれど。