月に叢雲花に嵐

カンッと床に何かが叩きつけられた。

「何よ、その顔。妾に文句でもあるの?出来損ないの娘が。」

よく言うことよ。
これが、吾の母親だなんて。
信じたくもない。

母の持つ離宮の外れに建てられた、小さな小屋に無理矢理押し込められて、はや、幾年か。

「何してるの。」

吾の足を、母が踏みつけた。
簪を拾おうとしていたのを、どうやらバレたらしい。

「…………まあ、今日はこれくらいにして、もう、行きましょう。こんな所に居ても、暇つぶしにもなりやしないわ。」

あの女は、出ていった。